これからS2000を探そうかな。
長く乗れる極上車を選びたいけど、どういうポイントで判断したら良いのだろう?当たり外れのポイントとかあるのかな?
ホンダ・S2000(AP1、AP2)は「当たり外れ」ポイントが数多く存在します。知らず知らずに「外れ」ポイントだらけのS2000を買うと金銭的に苦労することになりますよ。
この記事はこんな人に読んでもらうために書いています。
こんな人が書いています。
- S2000に4年乗っています。
- 購入後にTwitterやオフ会で得た知識を全てここに記します。
- 購入前に「知っていれば変わっていたなあ」と感じる場面が多々ありました!
是非参考にしてみてください。
【基本編】極上車を探すポイント
中古車を探すときは、以下のポイントに注意しましょう。
【1】ノーマル状態を知る
ノーマルに近い車両を探すのが最も重要です。あなたは
- ノーマルの外観
- ノーマルの内装
- ノーマルのエンジンルーム
をご存知ですか?
ノーマル状態を知らないようでは話になりません。どんな社外パーツが装着されているのか判断ができないからです。
またノーマルの購入を勧めると必ず反論されるのが
「パーツ代・エアロ代は買うと高いから最初から改造車を買った方が安いでしょ」という意見です。しかし
- 社外パーツの残りの寿命がわからない。
- 装着時期、経歴不明の社外パーツは怖い。
- 事故車から取り外した車高調を安く装着しているケース等も存在する。
- 元々の改造箇所が不透明。
- CPUチューニングは内装を外さないと発見できない。
- ビックスロットル、エキマニ、社外アームやキャンバージョイントは発見が難しい。
などトラブルの元です。経歴のはっきりした社外パーツのみついている確信があるなら改造車を購入しても良いですが、僕はおすすめしません。
【2】避けるべき車両を知る
避けるべき車両とはどんな車両でしょうか。下記のような車両はなるべく避けるべきです。
【応用編】S2000特有の当たり外れポイント
「基本編」で目星をつけた車両を最低でも5台ほど見学に行きましょう。見学の際は販売店に事前連絡を入れましょう。
販売店側も資料の準備ができるので丁寧に応対してもらえますよ。最悪、行く当日でもかまいません。
続いてS2000を見極める上で重要な「当たり外れ」ポイントを紹介していきます。
~シャーシ・ボディ編~
シャーシ・ボディに関しては、下記の観点でチェックしましょう。
- 修復歴なし
- 下回りの錆
- フロントアッパーアーム付け根(足回り)の溶接剥がれ
- 幌の雨漏り
- トランクの雨漏り
※エンジン等の機関編については後述します。
【1】修復歴なしに騙されるな
自称「修復歴なし」でも、実は「修復歴あり」!?
中古車販売業は闇が深いです。「修復歴なし」といっても業者によって基準が違うなんて日常茶飯事。ディーラーなどが主張する標準的な「修復歴なし」とは下記の通りです。
どうやって本当の「修復歴なし」を見分ければいいの?
それは『パネルを留めるボルト』を観察することです。
- ボルトの塗装が剥げていない。
つまりボルトを回した形跡がなければ修復歴なしと判断して良いです。確認するボルトの場所は下記の通りです。
- ボンネットのヒンジ
- ドアのヒンジ
- トランクのヒンジ
- フェンダーの取付部
【2】下回りが錆に犯されていないか
錆がある車両にも注意してください。
表面に発生した錆は10年でボロっと手で崩せるほど脆くなります。
錆を完全に治すことは不可能です。また下回りの錆の延命措置は非常に高額になります。
- 簡易的な補修で10万
- 徹底的な補修なら100万以上
かかると見た方が良いです。例を示すと、僕の購入したホンダS2000には下回りの錆がありました。2019/3に下回りの錆を下記の通りに防錆塗装しました。
- 防錆塗料:橋の裏側など潮害に塗装するような特殊防錆塗料を使用
- 施工場所:下回り、穴、タイヤハウス、エンジンルーム前方、トランク周り
- 金額:15万円ほど
下記は防錆塗装時の様子です。錆は見えない場所に発生します。ここまでしてもまだ完璧とは言えません・・・(涙)
【3】フロントアッパーアーム付け根(足回り)が剥がれていないか
S2000の弱点のひとつ
- フロントの上側のサスペンションアームの付け根
が剥がれやすい点に注意です。ノーマル車両なら問題はないのですが、
- 太いタイヤを履いた車両
- ハイグリップタイヤを履いた車両
が剥がれやすいです。サスペンションの付け根を覗き見して溶接剥がれの有無を確認しましょう。
溶接剥がれの修理は10万程度見ておいた方が良いでしょう。
【参考】SPOON製ガゼットプレート(溶接工賃は別途かかります)。
【4】車内が臭わないか
車内が臭う車は、雨漏りしている!?
S2000の雨漏りは大きく分けて二種類あります。
- 下からの雨漏り
- 落ち葉等の排水路詰まりが原因。
- 車内が臭くなる。
- 重症化した錆が見つかりやすい。
- 上からの雨漏り
- 幌、ウェザーストラップの劣化が原因。
- 隙間からの雨漏り。
「1.」については
- 保管場所が悪い
- 定期的に清掃されていなかった
ことが原因です。幌交換時に排水路の掃除をすれば治ることがありますが、原因が詰まりだと特定するのが難しいです。車内が臭う車両は避けましょう。
「2.」については幌の劣化によるものです。S2000の幌は「下記写真の赤丸箇所」に穴が開きやすいです。この場所の劣化具合で判断しましょう。
※穴が開いたくらいなら室内側からガムテープでの補修が可能です。「2.」の雨漏りについてはそこまで神経質にならなくても良いですよ。
幌交換の費用ってどのくらいかかるのかしら?
S2000の幌交換は15~40万ほどかかります。※工賃込みの価格です。
- ディーラー純正品交換(30~40万)
- 社外品交換(15万ほど)
幌交換はコンバーチブル研究所から出ている社外幌(STFのキャンパス生地)がおすすめです。純正品よりも耐久力や質感がありますよ。
【参考】コンバーチブル研究所製のガラスウィンドウ幌(工賃は別途かかります)。
【5】トランクが臭わないか
トランクの「底」が匂う車はトランクも雨漏りしている!?
トランクの「底」はそのままでは見えない場所です。
- 画像右下の板を外し
- 画像左下の工具セットを取り出す
と、初めて「底」が見えます。
実際に雨漏りしているトランクは、「底」が臭いますので注意しましょう。
【6】サイドシルの塗装割れ・クラックがないか
上記画像の赤丸箇所にクラックがある場合には避けた方が賢明です。また車体裏側にのみクラックが発生している場合もあるとのことなので、裏側まで覗き込んで確認すべきです。
クラックから錆が発生し、重症化する可能性が高いので避けましょう。
上記の意見からも分かるとおり、
- ハード走行された車両
クラックが入りやすいようです。サーキット走行車両などは極力避けるべきでしょう。
またサイドシルのクラックは、見た目の問題で全く走行性能には影響がないとの意見もありました。
その他、ホンダの手組製作であるため、当たり外れによるものだとの意見もありました。原因が何であるにせよ、クラックがあるよりはないものを選ぶに超したことはありません。
知らぬまま購入することだけは避けるようにしましょう。
~機関編~
続いてエンジン、ミッション、デフの状態を見分けるポイントを説明します。
- エンジンオイルの消費量
- エンジンの回され方・メンテ状態
- ミッションの入りの渋さ
- リア駆動系の劣化
【1】エンジンオイルの残量を確認する
S2000のエンジンは「オイルの消費量」によって
- 当たりエンジン
- 外れエンジン
などと言われます。外れを引くとトランクにオイル缶を常備することになりますよ(笑)
どうやってエンジンの当たり外れを見分けたら良いのかしら?
中古車を見学した際に
- 現在のオイルの残量
を確認してください。残量がLow以下なら間違いなくオイル消費する個体です。一番嬉しいのは
- オイルの色は黒く汚れている(オイル交換前)
- 残量はHIGHまで入っている
という状態ならばオイル消費しない「当たり」個体の可能性が高いです。
※オイル交換前か確認するのも忘れずに。通常は購入者へ納車前にオイル交換等する店が多いので大丈夫だとは思います。
オイル消費がひどい個体だとエンジンオーバーホールも視野に入れた方が良いでしょう。価格は「100万円~」と非常に高額ですよ。
【参考】SPOON製コンプリートエンジン(工賃は別途かかります)。
【2】エンジンの回され方、メンテ状態を確認する
エンジンの状態はどのように判断すれば良いでしょうか。それはズバリ
- エンジンの結晶塗装の剥げ方
- エンジンオイルの交換頻度
を確認すると良いです。
エンジンの結晶塗装の剥げ方
エンジンヘッドの赤色の結晶塗装が剥がれるのは「高熱に長く晒されること」が原因です。
下記の写真は「走行距離15万kmの剥げ方」を想定して取得した画像です。走行距離の少ない車両で、これほど結晶塗装が剥がれた車両があった場合は「それなりの走り」がされた車両です。※ちなみにヘッドカバーは数万円で新品交換できます。ピカピカだからといって油断しないように。
エンジンオイルの交換頻度
続いてみなさんご存じの通りエンジンオイルの交換頻度も重要です。
S2000の場合「3000~4000km毎」が理想です。見学時には必ず整備記録簿を確認しましょう。
※GTNETは整備記録簿が本社で一元管理されています。事前に参照する旨を連絡しなければいけませんので注意してください。
「オイル3000km毎交換」「エンジンヘッドピカピカ」「オイル消費量が少ない」車両を引けると良いですね。
【3】ミッションの入りの渋さを確認する
S2000はミッションが「スコン」と入るのが魅力です。しかし車両によっては
- 入りが渋い
- 入ったとき「ガリッ」とした感触がある
ことがあります。※1→2速のガリっとする感触はS2000のミッション機構上、普通です。
変速のたびにガリッとするのは嫌だなぁ
基本的にS2000のミッションは走行距離に応じて「入りが渋くなる」傾向です。S2000に乗っていればいずれ直面する問題ですが、購入時には少しでもミッションの状態が良い個体を引きたいものです。
ミッションが「ガリッ」とした感触になり始めている場合、ミッションオーバーホールを視野にいれた方が良いです。価格は「25万円~」です。
【参考】スプーン製トランスミッションオーバーホール(工賃は別途かかります)。
【4】リア駆動系からの異音がないか確認する
ハブ・ナックル・ドライブシャフトの劣化
S2000の駆動系(リア回り)は熱害に大変弱いことで有名です。前後50:50の理想的な重量配分に対して、
- リアブレーキが容量不足
という潜在的な不具合を抱えており、リアの駆動系に熱が籠もりやすい弱点があります。熱によって劣化すると加速時に「振動」や「音」が発生するようになります。
異音(ガタガタ音)がしないか確認させてもらいましょう。
デフの劣化
またS2000の最もひどい弱点はデフオイルの容量です。
- 日産・S15シルビア:1.5L
- ホンダ・S2000:0.7L
なんと同じ「250ps FRスポーツ」であるS15シルビアと比較して半分以下の容量です。
こんなに容量が少ないのに頻繁に交換している人が非常に少ないです。購入してから一度もデフオイルを交換してない現オーナーの方も要注意です。
異音(ゴーゴー音)がなり始めたらもう手遅れの状態なので注意しましょう。デフのオーバーホールは「30万円~」とミッションよりも高額ですよ。覚悟しましょう。
【参考】スプーン製 コンプリートデフ(工賃は別途かかります)。
【5】クラッチマスターシリンダーのオイル漏れを確認する
S2000の弱点としてクラッチマスターシリンダー(下記画像の水色矢印の部品)からのオイル漏れがあります。
原因はエキゾーストマニホールド(通称エキマニ)からの熱害によるものが大きいです。初期症状として
- クラッチの繋がる場所が変わった
- クラッチペダル根元のシリンダー部分(下の画像の緑矢印部分)からオイルが滲み出ている
等の症状があります。また
- アクセルを吹かしながら発進する癖がある
場合は熱害による劣化が早まる可能性が高いです。またクラッチのディスクの減りも早まりやすいため注意してください。最終的にはクラッチペダルを底まで踏んでも
- ギアが入らない
- ギアが抜けない
また停車時に
- ギアを入れたまま
- クラッチペダルは底まで踏込んでいるのに
車が進み始めたりします。「クラッチが切れなくなってしまう」という末期症状です(笑)この状態になるとミッションに悪影響を及ぼすため、車を動かさない方が良い、いわゆる「不動車」扱いです(笑)
【6】スプールバルブのオイル漏れを確認する
スプールバルブとは、下記画像の青丸の部品のことです。ローカムとハイカムを切り替える役割、要するにVTEC作動を司る場所というわけです。
この場所は
- エンジンの油圧が大きくかかる
- 熱害が大きい
場所であるため「オイル滲み」「オイル漏れ」などのトラブルが非常に多いです。この部品からオイル漏れしていた場合は注意した方が良いです。
まとめ:注意点を押さえてS2000の中古車を見極めよう
S2000の中古車の注意点について纏めてみましたが、いかがでしたか。
これから買う人を脅すつもりで書きましたが、実際に売られているS2000は意外に状態が良い車両が多くあります。しかしその中から運悪く大外れを引く可能性もあります。
S2000の特有の弱点を理解した上でノーマルに近い車両を購入することで大外れを引く確率は圧倒的に下がります。まずは相場を理解し、最低5台以上見学しましょう。
それぞれの車両にも違いがあり、どの状態が悪いのか、がわかり始めるはずです。
その上で自分の予算に合った車両を購入すればそれがあなたにとって極上車になります。
最悪エンジンオイルが減っても、ミッションの感触が多少ガリッとしてても、錆があっても、S2000は本当に楽しい車です。あまり神経質にならず最終的には気に入った一台を選んでも良いかもしれませんね。
これから一緒にS2000ライフを満喫しましょう。
ではまた!
コメント
はじめまして、WSエンジニアリングの代表者 吉田靖之といいます。
このブログ内で、紹介されている「避けるべき車両を知る」で、使われている写真は、
当社が、グーネットで掲載している写真ですよね?
ブログ管理者のあなた自身、この車両の詳細は知っているのでしょうか?
この車両は、エンジン、ミッションを11万キロのときに、オーバーホール、組みなおしており、事故箇所も、完璧といえるほど修復もしております。
当社は、S2000で、スーパー耐久レースにも出場しており、S2000の販売台数も多く、メンテナンスも、普通の中古車販売店よりも、確実なことをおこなっています。
ここで書かれている、「避けるべき車両」
内の、ネット上の写真を無断で使用して、あなた自身が、確認もしたことがない車両を、憶測だけで批判してるのは間違ったことだと思うのですが?いかがな物でしょうか?
名誉毀損、営業妨害に当たるのではないでしょうか?
1度、ご連絡いただけないでしょうか?
ネット上で、調べてもらったら僕の直通の携帯番号すぐにわかると思います。
このまま、放置されるようでしたら、法的な手段をとらせていただきます。
吉田さん
該当の画像・記述を削除いたしました。
申し訳ありませんでした。
実際に確認したことがない車両のことを、
誰でも閲覧可能なネット上で「誹謗中傷」してしまったこと深くお詫びいたします。
本当に申し訳ありません。
僕の意図は、スポーツカーに詳しくない僕のような素人が
「修復歴ありの改造車」を気軽に買うべきではないということを伝えたく、中古車サイトより
・修復歴あり
・改造車
に該当する車両を無差別に1台引用してしまいました。
「WSエンジニアリング」様の在庫車を指名して批判するつもりはありませんでした。
全面的に悪いのは僕であるため、
誠に恐縮なのですがご容赦いただけないでしょうか。